モバイルデータリカバリー

基板上での故障箇所の特定は、電子的な診断機器や専門的な知識を活用して行います。

外観検査

まず、基板に物理的な損傷がないか、腐食や焦げた箇所、破損したコンポーネントがないかを目視や顕微鏡を使って確認します。水没や落下による損傷が確認されることがよくあります。

電気テスト

テスターやオシロスコープなどのツールを使い、基板上の電圧や電流を測定します。これにより、ショート（短絡）や異常な抵抗値が検出された箇所が、問題の原因である可能性が高いと判断されます。

熱検査

一部の故障箇所は熱を持つことがあります。サーマルカメラを使用して、異常に発熱している箇所を特定し、故障の原因となるコンポーネントを見つけることができます。

基板の故障が特定されたら、故障した部分の修理を行います。

コンポーネントの交換

故障したチップやコンデンサー、抵抗などの電子部品を交換します。小型の部品を扱うため、顕微鏡や特殊なハンダゴテを使い、精密な作業を行います。

ショートや腐食の修理

ショートが確認された場合、回路を修正するか、新しい配線を行うことで正常な動作を回復させます。また、腐食がある場合は、基板をクリーニングして修理することもあります。

リボール作業

場合によっては、基板上のBGAチップ（ボールグリッドアレイ）が故障していることがあります。この場合、チップを取り外し、新しいはんだボールを再配置する「リボール」という作業を行い、再度取り付けます。

基板が修理されたら、デバイスを一時的に動作させてデータを取り出します。

直接的なデータ抽出

デバイスが動作可能になった場合、通常の動作を利用して内部ストレージからデータをバックアップします。データケーブルやソフトウェアを用いて、写真や連絡先、メッセージなどのデータを安全に取り出します。

NANDチップの取り外しとデータ抽出

デバイスが完全に修理できない場合でも、基板上のNANDフラッシュメモリ（データを保存するチップ）を直接取り外して、特殊なリーダーを用いてデータを読み取る技術があります。これは非常に高度な技術で、チップそのものが破損していない限り、データを復元することが可能です。

ソフトウェア的なデータ復旧

物理的な修理ができた場合、OSの障害やファイルシステムの破損が原因でデータにアクセスできないこともあります。この場合、専用のソフトウェアを使ってファイルシステムを修正し、データを復元します。